暗号資産(仮想通貨)を取り巻く制度①
2017年から日本国内では暗号資産(仮想通貨)について各種の制度が整い始めております。
ここでは、現行の制度や、制度の改正の背景についてご紹介いたします。
資金決済法
現行の仮想通貨に関する資金決済法での扱いは2016年に国会審議され2017年4月に施行されました。
ここではマネーロンダリングやテロ資金供与等の対策のため仮想通貨交換業者に登録制を導入され仮想通貨交換業者に対し、利用者の口座開設時の本人確認等の義務付や、制度的な枠組みの整備(最低資本金・顧客に対する情報管理・顧客財産と業者財産の分別管理・システムの安全管理など)を行う等の措置が設定されました。
資金決済法2条5項
この法律において「仮想通貨」とは,次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し,若しくは借り受け,又は役務の提供を受ける場合に,これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ,かつ,不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り,本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ)であって,電子情報処理組織を用いて移転することができるもの。
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって,電子情報処理組織を用いて移転することができるもの。
2017年 7月より 仮想通貨の譲渡に係る消費税が非課税に
それまでは、【もの】として扱われていた仮想通貨が【支払手段】として扱われることになり、消費税が非課税となりました。
それまでは仮想通貨を【もの】や【サービス】と扱っていたため消費税がかかっていましたが【支払手段】となることで二重課税を防ぐということを一要因として消費税が非課税になりました。
例えば消費税が課税されている場合は以下のようになり2重で課税がされてしまう状況でした。
100,000円分の仮想通貨購入する場合
消費税が課されることにより、108,000円を支払い100,000円分の仮想通貨を購入する。
この仮想通貨を決済で利用した場合
商品購入時に8%の消費税が改めて発生するため決済通貨として利用できる額が925,000円(約)となる
また、2017年から目まぐるしく環境が変わり以下のような状況や問題があり現行法からの改正が検討されるようになりました
- 2017年、仮想通貨取引が⼀気に膨れ上がり、BTCが年初10万円程度から最高210万円程度にまで⾼騰。
- 次々に実施されるICO(新規コイン発⾏)による不特定多数に対する資⾦集めや、ICOをネタにした詐欺事案が頻発。
- CoincheckによるNEM流出事件等を背景に、仮想通貨交換業に対する規制の⾒直し・強化の必要へ。
2018年12⽉、⾦融庁WG「仮想通貨交換業等に関する研究会」の報告書がまとまり、その後
金融庁は2019年3月15日、仮想通貨に係る制度等について改正案を国会に提出し、「仮想通貨」から「暗号資産」への名称変更などを盛り込んだ改正資金決済法が5月31日、参議院本会議で可決・成立しました。
次回は改正資金決済法と現制度の違いについてご紹介いたします。