地域通貨とブロックチェーン
当記事では、ブロックチェーン技術を利用した地域仮想通貨についてご紹介いたします。
そもそも地域通貨とは、法定通貨ではないが、限られた特定の地域内やコミュニティ内で利用できる通貨のことを指します。
地域通貨自体は1980年頃から世界中で行われていた取り組みであり、日本でも2000年代前半にブームを迎え、ピーク時には3000種類以上の地域通貨が存在したといわれています。
しかし、当時の主流が紙幣方式の地域通貨だったため、発行から管理、換金などに必要とされた労力やコストが重くのしかかり、地域通貨の持続的な運営、発展を行うことができず現在までに200種類程度に数を減らしています。
しかし、昨今のフィンテック(金融+IT)技術やブロックチェーン技術の登場により、再び地域通貨に注目が集まっています。
その中で、実証実験が行われたり実際に運用が始まっている地域通貨についてご紹介します。
NeCoban
https://sound-f.jp/necoban/
静岡県富士市の地域仮想通貨プロジェクト
株式会社Sound-Fが2016年9月から2017年3月まで実施した実証実験
株式会社静岡銀行、マネックスグループ株式会社、富士市吉原商店街振興組合、富士つけナポリタン大志館、法人愛Bリーグ本部、株式会社Sound-F、プラットフォームとして、日本マイクロソフト株式会社が参画。
ダウンロードするとnecoが付与されたり、necoで買い物をするとnecoがもらえるたり、店側からクーポンが発行されたりと利用者にとってお得なメリットが提供できる。
また、店側としても、セールの案内が出来たり、雨天時や客足の時間帯にクーポンを出し集客したりと、店側としても集客に寄与するというメリットが付与できる。
現在は実証実験が終了したということですが、ブロックチェーンを利用した地域通貨の事例としては一定の効果が得られたのではないでしょうか。
湖山ポイント
https://www.city.kasumigaura.lg.jp/page/page003813.html
茨城県かすみがうら市への地域仮想通貨「湖山ポイント」
かすみがうら市が実施する『定住人口・交流人口の増加および消費喚起による市内経済の活性化に寄与することを目的とした『かすみがうら市湖山ポイント(地域ポイント)事業』になります。
対象は市民と、都内近郊からの訪問客。
観光やマラソンなどのイベントで都内近郊から訪問者は多いが、訪問者が市内のサービスを利用する機会が少なく、消費につながっていない問題があり、
市内のイベントやボランティア活動などに参加した際に、湖山ポイントを得られ、ポイントを市内の店舗利用時に代金として利用できる仕組みをとり、市内サービスの利用を促すことも視野に入れている。
QRコード決済システムを利用することによりコストを抑えて導入することができたようです。
現在は利用できる店舗が10店舗(2019年4月1日現在)と少ないですが、これから導入店舗が増えていくことを期待したいですね。
アクアコイン
https://www.kisarazu-aquacoin.com/
千葉・木更津が取り組む「アクアコイン」
君津信用組合・木更津市・木更津商工会議所が 連携して普及に取り組む電子地域通貨
2018年の3月末から6月の終わりぐらいまで実証実験が行われました。
加盟店は100店からスタート。流通額も4000万円(目標値3000万円)を超えて成功に終わり、10月より本格展開開始。
君津信用組合の窓口などの所定の方法でのチャージや、ボランティアやイベントの参加により、ポイントが付与され、取得したアクアコインやアクアポイントでQRコードを利用して決済ができます。
キマ☆チケ
福島県喜多方市が取り組む「キマ☆チケ」
2018年10月から11月にかけて実証実験を実施。
地元企業と会津大学、日本ユニシスグループのコラボレーションにより実現した取り組み。
事前にスマホアプリを使って電子チケット(電子バウチャー)を前払いで購入し、加盟店でQRコードを読み取ることにでサービスを受けることが出来る。
実証実験には喜多方名物のラーメン店、酒屋、お菓子屋などさまざまな店舗が参加。
複数店舗の周遊チケットを発行するなど、店同士の連携がしやすい施策も取り入れており、店同士の交友ひいては地域の活性化に寄与できると考えている。
地域通貨とは少し変わるのですが、地域スポーツの活性化という観点で以下のような試みもあります。
熊本ヴォルターズコイン
熊本バスケットボールが運営する、熊本を本拠地とするプロバスケットボールクラブ「熊本ヴォルターズ」。
同チームの活性化のためにブロックチェーンを取り込みたいと考えている。
トークンエコノミーを活用して2つの取り組みを行いたい。
・クラウドファンディングを活用した若手選手の育成支援システム。
・パートナー企業が参画する地域活性化の支援システム。
支援者が資金援助をして、そのお礼として選手のトレーニングを見学したり、サインを書いたりといったインセンティブが得られたり、パートナー企業にはマーケティング面での連携ができるとしている。
上にあげた事例以外にも今後どんどん増えてきそうですね。
・紙では実現できない、低コストでの運用。
・QRコード決済による加盟店の負担の軽減
・デジタルを活用することによりデータの利活用の可能性
など、今までの地域通貨では実現できなかったことができそうですね。
地域通貨が、地域内で循環するような経済が生まれると面白そうですね。