暗号資産(仮想通貨)の税金 計算方法 移動平均と総平均
暗号資産の収支計算について、今回は収支の計算方法についてご紹介します。
暗号資産の収支の計算方法には、移動平均法と、総平均法という2つの方法があります。
現物取引で取引を行う場合には
・個人の方は、移動平均法と総平均法のどちらかを選択
※今後移動平均法を利用したい場合には届け出が必要になります。
・法人は基本は移動平均法
で行う形になるかと思います。
国税庁が配布している計算書と各取引所から提出される年間取引報告書で計算を行う場合には総平均法での計算になります。
国税庁配布の計算書の注意点としては、複数の取引所間で通貨の移動を行う場合には、原価を正しく取得することができません。
そのため正しい計算ができないため、一つの取引所内での売買を行っている場合に有効になるといえます。
移動平均法と総平均法の計算方法についてそれぞれ以下のようになるかと思います。
移動平均法
購入の都度、仮想通貨ごとの平均単価を計算しなおします。
①4BTCを2,000,000円で購入
平均取得原価は500,000円 →2,000,000円÷4BTC
②6BTCを3,500,000円
平均取得原価は550,000円 →(2,000,000円+3,500,000円)÷10BTC
③5BTCを3,000,000円で売却
平均取得原価(は変わらず)550,000円 →2,750,000円÷5BTC
所得金額は250,000円 →3,000,000円-(550,000円×5BTC)
④5BTCを2,000,000円で購入
平均取得原価は475,000円 →(2,750,000円+2,000,000円)÷10BTC
↓
所得 250,000円
取得原価 475,000円
移動平均法のメリットは
・実際の取引の利益と近くなる。
・納税準備がしやすくなる。
デメリットは
・一つ一つの購入取引から取得原価を計算しなくてはいけない分、総平均法と比べて計算が煩雑になる
ということになるかと思います。
総平均法
期中の総購入金額と総購入数で、通貨ごとの平均単価を算出します。
①4BTCを2,000,000円で購入
②6BTCを3,500,000円で購入
③5BTCを3,000,000円で売却
④5BTCを2,000,000円で購入
↓
総購入金額 7,500,000円
→ 2,000,000円+3,500,000円+2,000,000円
総購入数 15
→ 4+6+5
取得原価 500,000円
→7,500,000円÷15
総売却金額 3,000,000円
総売却数 5
所得金額 500,000円
→ 3,000,000円-(500,000円×5)
総平均法のメリットは
・移動平均法に比べて計算が容易
デメリットは
・一年間の総購入数と総購入金額から取得金額を計算するため、実際の取引の損益と大きく異なる可能性がある。
・集計期間末日にならないと損益が計算できないため、納税準備がしにくい。
ということになるかと思います。
比較
上記の場合ですと、同じ取引を行っても、移動平均法では250,000円の所得、総平均法では500,000円の所得となりました。
そして、最終時点の取得原価が移動平均法では475,000円、総平均法では500,000円と総平均法のほうが高くなっています。
一期だけでみると所得金額に差が生じていますが、取得原価も変わってきますので将来にわたって生じる所得金額には差が出ないようになっています。
ただし、仮想通貨取引に関する所得は雑所得(総合課税)として取り扱われるため、累進課税と関連して、単年で見ると納付額に大きく差が出ることもあります。
注意点としては、年によって総平均、移動平均での計算を選ぶことはできず、一度決めたらその計算方法を毎年続けるということが基本になりますのでご自身にあった計算方法にて計算してもらえればと思います。
計算方法に迷われたら、税理士や税務署にご相談ください。
クリプトリンクでも税理士のご紹介を行っておりますので、ご希望ございましたらご連絡いただければと思います。
税理士のご紹介はこちら
もしくはメールでもご相談いただければと思います。
support@cryptolinc.com
国税庁配布の計算書について
上記で少しふれました国税庁配布の計算書について補足いたします。
国税庁は平成30年1月1日以降の取引をまとめた年間取引報告書を送付するよう、国内の各取引所に依頼しています。
年間取引報告書の記載事項は
①年始数量
②年中購入数量
③年中購入金額
④年中売却数
⑤年中売却金額
⑥移入数量
⑦移出数量
⑧年末数量
⑨損益合計
⑩支払手数料
となっています。
また、国税庁は仮想通貨の計算書を移動平均法・総平均法ともにエクセルシートで公開しています。
この計算書の移動平均法のシートを利用する場合、取引の一つ一つを記載する必要がありますので、各取引所の取引履歴から入力します。
総平均法のシートを利用する場合は、各取引所から送られてくる年間取引報告書を使用します。
計算書の計算結果を用いて収支確認と確定申告をすることができます。
国税庁の計算書でも収支の計算を行うことはできますが、複数の取引所や取引通貨が多い場合には、データの加工等なかなか大変なところもありますので、取引所から取得できるデータをそのまま利用できるクリプトリンクの計算ツールを利用することをお勧めいたします。
今回は、移動平均法と総平均法と併せて、国税庁の計算書についてご紹介しました。
少しでもお役にたてれば幸いです。