仮想通貨の税務のおさらい②
当記事では、仮想通貨の売買などのシンプルなものではなく、ちょっと注意が必要な部分についてご紹介します。
仮想通貨の税務の基本的なことについてはこちらをご参考にしてください
①仮想通貨の計算方法
仮想通貨の収支計算方法には、総平均法と移動平均法の2種類の計算方法があります
総平均法
前年度末に「保有している通貨の数量」と「保有している通貨の取得原価」に、その年に購入した「通貨の総数」と「総購入額」を足し合わせたものと、その年に売却した「通貨の総数」と「総売却額」を差し引きして計算を行う
>計算がシンプルでやりやすいが、取引ごとに収支が決まるわけではないので、想定と異なった計算結果になるケースがある
移動平均法
取引ごとに売買する通貨の「取得単価」を計算して、1つの取引ごとに収支の計算を行います
>売買の都度、収支を計算するので、取引の実態に近い損益計算になる。
実際の収支の計算ではどちらかを選択して計算を行います。
総平均法にする場合には特に届け出は必要が不要ですが、移動平均法で計算を行いたい場合には
以下国税庁のサイトを参考に届出書を提出してください。
ここで一つ注意点ですが、
一度決めた計算方法は3年間変更できませんので、毎年違う計算方法で提出といったことはできませんので、ご自身のトレードの傾向や戦略を軸に計算方法を選ぶようにしてください。
②一時的に必要な仮想通貨を取得した場合
たとえば、BTC建てでしか購入できないトークンを購入するために、一時的にBTCを購入した場合、他にBTCがあったとしても合算して取得原価計算をしなくてもよいとなりました。
この場合は個別で新しいトークンの取得価額は、この時に購入したBTCの取得価額と同じになる。
しかし以下のような場合には一時的に取得したものとみなされない可能性がありますのでご注意ください
・2019年1月に購入した1BTCのうち、0.3BTCを2020年2月にICO投資した
>時期もずれているし、取得したものがICO投資のために購入したものと判断ができない
・2020年1月1日に1BTCを購入 2020年1月2日0.2BTCにICO投資した
>取得したものがICO投資のために購入したと判断ができない。
ICO投資のためにBTCを購入したと証明できるために、ICO投資額分のみのBTCを購入した場合に上記摘要されるようです。
とはいえ、BTCの価格は変動するので、微妙に多くBTCを購入するなどあると思いますが、判断に迷う場合には税理士などの専門家にご相談されることをお勧めいたします。
③みなし取得価額
取得原価が不明である場合等において、収⼊⾦額の5%を取得原価として計算している場合はこれを認めるとの規定。
取得原価不明のため計算ができないケースが対応できるとともに、投資家によっては節税になる可能性があります。
【例】
ビットコイン 1BTCを1万円で購入→2019年80万円
>それぞれの利益
通常の計算:79万円
みなし取得価額利用:76万円
ADAカルダノ 1ADA0.2円でICO→2020年13円
>それぞれの利益
通常の計算:12.8円
みなし取得価額利用:12.35
いずれも5%を取得原価にしたほうが得になります。
しかしここで注意点ですが、みなし取得価額を利用する場合には取引ごとに利用することはできません。
みなし取得価額を利用する場合にはその年のすべての取引をみなし取得価額を用いて計算する必要がありますので、全体の収益をみて適用するか検討してください。
④贈与時のみなし譲渡の適用
贈与を⾏った際に贈与者においてみなし譲渡を適⽤する。
親が購入した仮想通貨を子に譲渡した場合には、親にはみなし価格にて利益が発生し子には贈与された金額分の贈与税が発生します。
【例】
親が2万円で50BTC を購入 (合計100万円)
2020年6月に子供に50BTCを贈与を行った
※BTCのレート 90万円で計算
親:90万円×50BTC=4500万円-100万円(原価)=4400万円の利益として雑所得に計上
子:4500万円分の贈与税
上記のようになります。
取得原価が引き継ぎにならないので注意が必要です。
今回は少わかりにくい部分の税務についてご紹介しました。
クリプトリンクでは税理士とタッグを組んでサポートしますので、税金回りにご不安なことがありましたらお気軽にお問い合わせください。