仮想通貨・暗号資産の会計・税務に関する情報をお伝えします

Uniswap等DeFi(分散型金融)での取引の損益計算方法について

DeFiの一形態である、Uniswap。非中央集権型取引所のひとつ。
一定量のイーサリアムを預託すれば、利息をもらえたり、ERC20ベースのトークンをだれもが相対取引をすることができるといったことから活況を呈しています。
実際に多くの問い合わせをクリプトリンクにも頂いておりますが、現状、国税庁からこの損益計算や税の取り扱いについて提示されていない状況です。
そこで、これまでの会計慣行等から、下記のように損益計算することをご提案いたします。

なお、下記損益計算方法については、執筆時点で判明している法律・通達等に基づいて記載をしておりますが、その時点並びにそれ以降における正確性を保証するものではありません。また、一般的な事例を記載しておりますが、特定の個人や組織がおかれている状況に対応するものではありません。本稿を参考に何らかの行動を執られる場合には、税理士をはじめとする専門家にご相談の上ご判断ください。当社は一切の責任を負いかねます。

1:1ETHをPool(預託)した

預託したのみで損益計算なし

2:1ETHをPoolし、後日利息(Bonus)として0.1COMPを受け取った

受け取った0.1COMPを受取時のレートで収益計上。

3:1ETHをPoolし、50USDCを借りた

借りたのみで損益計算なし。

4:1ETHをPoolし、借りた50USDCのうち、10USDCを1,100円で売却した

取得原価ゼロで10USDCを売却した扱いとする
※実際にはこの後にUSDCを返済する際に精算が起きるが、この時点ではその額が明確ではないので売却額を全額収益計上する。

5:4の後、50USDCの返済時に、不足している10USDCを1,000円で購入した

購入した10USDC1,000円を費用計上する。

本来、4と5は紐づく取引であり、取引を対応させることが正しいと考えますが、実際には借りたものを先に売却し、後日不足分を購入という履歴も多いことから、その取引時に各々損益を計上することで実務上対応することが簡易的に可能であるためです。他に4の時点で仮受金で計上、5の時点で仮受金と相殺、差額を損益として認識する方法も可能と思いますが、少しややこしい取引になります。

6:Poolした1ETHを引き出したら、1.1ETHと150DAIになっていた

差額の0.1ETHおよび150DAIを受取時に収益計上する

7:Poolした1ETHを引き出したら、0.9ETHと200DAIになっていた

差額の0.1ETHを費用計上すると同時に200DAIを受取時に収益計上する

7だけを見ると、0.1ETHの減少と200DAIの取得に相関関係がありそうに思えますが、実際にはETHの減少は各種手数料の支払いによって減少しているケースもあります。
8の取引のように、ETHが増加しているのに新たなDAIというトークンが付与されているという取引もあるため、これらの増減には相関関係はないとして、各々損益計上をする対応になると考えます。
但し、実際に認識できるのは引き出しのタイミングしかないので、実際の付与・費消タイミングでの計上は難しいと思われる点は注意が必要です。

以上となります。
実際にクリプトリンク上で計算を行う場合にはカスタムファイルを作成して読み込ませる必要があります。カスタムファイルの作成方法はこちらのFAQでご確認ください
なお、カスタムファイル作成用のサンプルファイルはこちらからダウンロードできます。

監修:税理士法人ファシオ・コンサルティング 代表・税理士  八木橋泰仁
※本稿は税理士法人ファシオ・コンサルティングからの寄稿となります(禁・無断転載)

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